天雲について

一般的に漆器というと、つややかに研ぎ出された、光沢のある質感を想像されるのではないでしょうか。

塗りの仕事の一部に“炭研ぎ”という工程があります。せっかく塗ったものをと思われるかもしれませんが、漆を塗っては木炭等で研ぐという作業を繰り返すことで、強度が増す、とても重要な作業です。

“炭研ぎ”によって表れる、つやの抑制された独特の質感や静けさ、美しさにはっとする。奇をてらう新しさではなく、視点を変えることで再発見された美。

京都・西村圭功漆工房、西村洋子監修による天雲「tenun 」のコンセプトを体現する「炭研ぎ sumitogi 」は、この感動を発端に、引き算の発想から生まれました。
従来の漆器の概念を超え、現代に通ずる用を見据え、普遍的な形を求めてまいります。

日々の暮らしの中で、そして特別な場面に、さまざまにお使い頂ける器を揃えました。末長くご愛用頂けましたら幸いです。

西村圭功漆工房は、塗師として、三代にわたりその技術を受け継いでまいりました。 天雲「tenun 」では、その歩をさらに進め、木地から塗りまでを工房内で一貫して行うことで、伝統を受け継ぐ職人の育成、延いては、京都のもの作りの継続と発展の一助となるよう努めてまいります。
今後は、木地の元となる森を守り育てることにも取り組み、もの作りと共にあった自然の循環システムを再び取り戻し、活かしていきたいと考えています。

西村圭功漆工房
https://keikou.jp

炭研ぎの技法について

うつわの土台となる木地は、京都の特徴を活かした仕上がりになるよう、轆轤で薄く繊細に挽き上げ、成形します。
一般的な漆の下地を付けず、木地に漆を何度も直に塗り込むことで強度が増し、木地のくるいが生じた場合も、剥離、割れ、欠けを防ぐことが出来ます。
この塗りの間に、木炭等を用いた研ぎの仕事が入ります。塗っては研ぐ作業を繰り返し、通常の上塗りに相当する最後の塗りを施した後、再び表面を研いで仕上げます。
全ての工程は職人の手によって丁寧に行われます。

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素材

漆/ウルシ/lacquer
欅/ケヤキ/zelkova
檜/ヒノキ/Japanese cypress

作り手

<塗り>
西村圭功漆工房

<木地>
器:西村圭功漆工房
カトラリー:多和寛

ウェブサイト

<写真>
伊藤信
市川靖史

<料理>
宍倉慈